冬を越した駐車場や構内道路に、ひび割れや隆起、陥没が現れることがあります。以前は平らだった場所が持ち上がっていたり、小さなひび割れが穴へ広がっていたりする場合、アスファルト舗装の凍害が関係しているかもしれません。
ただし、見た目だけで凍害と断定することはできません。経年劣化や交通荷重、排水不良などが重なっている場合もあります。
表面だけを補修してよいのか、路盤から調べる必要があるのか。舗装の状態と損傷の深さを確認したうえで、補修方法を決めることが大切です。
■アスファルト舗装の凍害とは
アスファルト舗装の凍害とは、低温や凍上、凍結と融解の繰り返しなどによって舗装に生じる損傷です。
舗装は、表面に見えるアスファルト層だけでできているわけではありません。その下には、舗装を支える路盤や路床があります。舗装内部や地盤に水分が入り込むと、冬季の凍結や春先の融解によって状態が変化し、ひび割れや隆起、陥没につながることがあります。
土木研究所でも、寒冷地の舗装では凍上、低温クラック、融解期の支持力低下、凍結融解作用などによって特有の劣化が生じると説明しています。
・凍害と凍上の違い
凍上とは、地中の水分が凍って氷の層が発達し、地盤や舗装を持ち上げる現象です。凍害は、凍上や凍結融解、低温などによって生じる損傷を広く捉える言葉として使われます。
舗装面が持ち上がっているからといって、表面のアスファルトだけに原因があるとは限りません。下にある路盤や路床で凍上が起きている可能性も考える必要があります。
■凍害が発生する仕組み
凍害の発生には、水分と気温の変化が深く関係しています。
舗装のひび割れや端部、排水しにくい場所から水が入り、その水分が凍結と融解を繰り返すと、舗装内部や下部の状態が変化します。そこへ車両の荷重が加わることで、損傷が表面化する場合があります。
・凍上によって舗装が持ち上がる
路盤や路床に含まれる水分が凍結すると、地中に氷の層が生じて舗装を押し上げることがあります。これが凍上です。
凍上が一部分に集中すると、舗装面が波打ったようになったり、周囲との段差が生じたりします。持ち上げられた舗装が変形に耐えられなくなると、表面にひび割れが現れることもあります。
・融解期に支持力が低下する
冬の間に凍結していた地盤が春先に解けると、路盤や路床が水分を多く含み、舗装を支える力が一時的に低下する場合があります。
国土交通省の資料でも、積雪寒冷地では凍上による破損だけでなく、融解期の支持力低下による損傷があるとされています。
支持力が落ちた状態で車両が繰り返し通行すると、ひび割れや沈み込み、穴などにつながります。冬の間は目立たなかった損傷が、雪解け後に急に現れるのは、この影響も考えられます。
■凍害を疑う舗装の症状
冬を越した後、次のような変化が見られる場合は、舗装の表面だけでなく下部の状態も確認した方がよいでしょう。
- 冬の前にはなかったひび割れが現れた
- 既存のひび割れが急に広がった
- 一部分だけ盛り上がって段差ができた
- 舗装面が沈み、水がたまるようになった
- アスファルトが剥がれ、小さな穴ができた
- 補修した場所が同じように再び傷んだ
特に、隆起や陥没を伴う損傷は、表面より下に原因がある可能性があります。穴や段差がある場合は、人や車両の通行に影響がないかも確認が必要です。
・ひび割れだけでは原因を断定できない
ひび割れがあるだけで、すべてを凍害と判断することはできません。
アスファルトの経年劣化、重量車両の通行、舗装構成、排水状況などでも似た症状が起こります。いつ発生したのか、冬を越して急に広がったのか、周囲に水がたまっていないかといった状況も判断材料になります。
表面の写真だけで補修方法を決めるのではなく、損傷範囲や舗装の沈み、周辺の排水状況まで確認する必要があります。
■凍害を放置するとどうなるか
細いひび割れでも、そこから雨水や雪解け水が入り込むと、舗装内部の損傷が進む可能性があります。
水が入った状態で再び凍結と融解を繰り返すと、ひび割れの周囲が剥がれ、やがて穴へ広がることがあります。土木研究所の研究資料でも、水の浸入や凍上、凍結融解とポットホールの発生との関係が研究されています。
すぐに工事が必要か判断できない場合は、同じ位置から定期的に写真を撮り、ひび割れの長さや段差の変化を記録しておくとよいでしょう。ただし、穴が開いている、舗装が大きく盛り上がっている、車両が通るたびに沈むといった状態は、早めに調査を検討する目安です。
実際に行われている舗装工事を確認したい方へ。
■損傷の深さに応じて補修方法を選ぶ
凍害が疑われる舗装では、目に見える範囲だけでなく、損傷がどこまで及んでいるかによって補修方法を選びます。
表面の軽いひび割れと、路盤まで変形している舗装では、必要な工事が異なります。原因を確認せず表面だけを覆うと、補修後に同じ場所が再び傷むこともあります。
・表面的なひび割れの補修
路盤が安定しており、損傷が表面的なひび割れにとどまっている場合は、ひび割れ部分へ処置を行い、水の侵入を抑える方法を検討します。
ただし、ひび割れの幅や深さ、広がり方によって対応は変わります。亀甲状に広がっている場合や、ひび割れの周囲が沈んでいる場合は、表面だけの処置で済むとは限りません。
・局部的な穴や剥がれの補修
ポットホールや局部的な剥がれでは、損傷部分を取り除き、舗装を復旧する方法があります。
この場合も、穴をアスファルトで埋めるだけではなく、その下が水を含んでいないか、路盤が緩んでいないかを確認します。下部に原因が残っていれば、同じ場所で損傷が繰り返される可能性があるためです。
既存の路盤が安定していて、表層を広い範囲で補修する必要がある場合は、オーバーレイなども選択肢になります。
・路盤を含めた打ち換え
舗装の隆起や沈下が大きい場合や、融解期に路盤・路床の支持力が落ちている場合は、表面を補修するだけでは改善できないことがあります。
必要な範囲の舗装を撤去し、路盤の状態を確認したうえで再施工する打ち換えを検討します。工事範囲は大きくなりますが、原因が舗装の下にある場合は、そこまで処置しなければ再発を抑えにくくなります。
■凍害の再発を防ぐために確認すること
凍害対策では、傷んだ部分を直すだけでなく、水がどこから入り、なぜ舗装内部に残ったのかを確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
- ひび割れや舗装端部から水が入っていないか
- 雨や雪解け水が一か所に集まっていないか
- 側溝や排水口まで水が流れる勾配になっているか
- 路盤や路床が水分を多く含んでいないか
- 通行する車両の重さや台数に舗装構成が合っているか
- 過去に補修した場所で同じ損傷が起きていないか
凍上への対策としては、舗装構造や凍上抑制層を含めた検討が行われることもあります。北海道開発局でも、既設アスファルト舗装の凍上対策に関する設計・施工方法がまとめられています。
必要な対策は敷地条件や損傷の深さによって異なります。すべての舗装に同じ方法を当てはめるのではなく、排水と舗装構造の両方から原因を絞り込むことが大切です。
■舗装会社へ相談する前に整理する情報
現地調査を依頼する際は、次の情報を整理しておくと、舗装の状態を伝えやすくなります。
- 損傷が発生している場所
- ひび割れや隆起に気づいた時期
- 冬の前後でどのように変化したか
- 雨や雪解け後に水がたまる場所
- 普段通行する車両の種類
- 過去の補修時期と補修した範囲
- 損傷箇所と周辺を撮影した写真
特に写真は、損傷部分を近くから撮ったものだけでなく、排水方向や周囲との高低差が分かるものもあると状況を共有しやすくなります。
ただし、写真だけで損傷の深さや路盤の状態まで判断することは困難です。原因が分からない場合は、現地で舗装面や排水状況を確認したうえで補修範囲を決めます。
■宮城県で舗装の状態を確認したい方へ
当社は仙台市太白区を拠点に、宮城県内で道路や駐車場、トラックヤードなどの舗装工事を手掛けています。
冬を越してひび割れや隆起が現れた場合、表面補修だけで済むのか、舗装の下まで確認すべきなのかは、損傷の状態によって変わります。ひび割れの広がり方や段差、排水、通行車両などを確認し、必要な工事範囲を検討することが大切です。
舗装の状態に合った補修方法を検討したい方へ。

